金山裕樹ほか『いちばんやさしいグロースハックの教本 人気講師が教える急成長マーケティング戦略』を読んだ
グロースハックとは、製品開発とマーケティングの中間に立ち、プロダクトの中に成長の仕組みを組み込んで、その結果をデータで判断して改善していくこと。本書はその考え方と方法を解説している。他のスタートアップのフレームワークを解説した書籍より、具体的な内容に触れているように思う。基本的に1見開き1トピックという構成なので、気軽に読める。
ARRRA(アーラ)モデル
著者は、ARRRAモデルの利用を提唱している。ARRRAモデルとは、Activation(ユーザー活性化)、Retention(継続)、Referral(紹介)、Revenue(収益化)、Acquisition(ユーザー獲得)の各ステージの頭文字の集合で、この順番で施策を回していくことがサービスの成長への近道だと説いている。グロースハックにおいて最も有名なモデル「AARRRモデル」が実際の施策を行う順番になっていないこと、また離脱率に重点が置かれていることから、これの欠点を補う形で作成された。アクティベーションの概念を拡張し「ユーザー体験を最大化」することに焦点を合せたARRRAモデルを、本書ではそのステージに沿って順番に説明している。
グロースステージとKGI
明確なゴールがなければ正しい施策は行えないと筆者は指摘する。そこで、グロースステージチェックシートと照らし合わせて正しいKGI設定を行うこと、またそれをドリルダウンした正しいKPI設定の重要性を説いている。また、KPIの数値が向上してもKGIが改善していない、もしくは減少してしまったという落とし穴にはまらないように、施策の効果をチェックする際には、KGIとKPIを両方見ることが重要であるとも言及している。
チェック項目 | ステージ | KGI(ゴール) | |
---|---|---|---|
アイデアがある | → | アクティベーション/PSF((Problem Solution FIt: 顧客、課題、解決法の前提が間違っていないか)) 顧客に求められている製品を作れているか | PSF |
PSFの検証が完了 | → | アクティベーション/ユーザーオンボーディング サービスの価値が伝わっているか | 翌○再訪率 |
再訪率50%以上 | → | リテンション 継続して使われるほど満足させているか | 継続率 |
リテンションカーブが滑らか | → | リファラル 友人を招待したくなるほど満足させているか | バイラル係数 |
バイラル係数0.5以上 | → | レベニュー お金を払いたくなるほど満足させているか | ARPU((Average Revenue Per User: 顧客単価)) |
LTV((Life Time Value: 顧客生涯価値)) > CPA((Cost Per Acquisition: 顧客獲得単価)) | → | アクイジション 上記全てをクリアできているか | 登録数 |
感想
担当するサービスがどのステージに居るのかがグロースステージチェックシートでわかるのが良い。ステージが分かれば目指すべきゴールも見えて、具体的な施策も検討しやすくなる。まずはこれをやってみようと思える内容だった。